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  • 執筆者の写真Iori Imai

更新日:2019年10月12日

映画「調査屋マオさんの恋文」を監督しました今井いおり(41)と申します。

私は普段フリーランスのTVディレクターをやらせてもらっていすが

ライフワークとしてドキュメンタリー映画を制作しています。


「調査屋マオさんの恋文」という映画は、認知症を発症した奥さんを記録し続けている元調査屋の佐藤マオさんを3年半にわたり撮影したもので、夫婦、認知症、家族について見つめた作品です。


よかったら予告編を見てください。



このブログでは映画本編以外のお話をお届けしようと思っています。


最初からはこちらからご覧いただけます。


取材をはじめて、マオさんが「調査屋」である事を知りました。


「調査屋」というのは、今でいうマーケティングの仕事です。

企業から商品開発、販売促進などの調査依頼がありそれを解決する仕事です。

と書いている僕ですが、当時の僕には全くどのような仕事か見当が尽きませんでした。


ただ、「調査屋」と「取材」という仕事には共通点がありました。


それは「インタビュー」です。


「インタビュー」は、街頭インタビュー、スポーツ選手へヒーローインタビュー等テレビで目にしていると思います。


普段、僕はニュース等で撮影のお仕事をしているので、インタビューが非常にセンスのいる事は分かっていました。


そして、マオさんは「インタビュー」のスペシャリストだという事がわかりました。


というのも調査屋の社長だったのです。


ですので、イチローファンのマオさんは事あるごとに、「イチローへの質問が悪い」「俺だったらこういう質問をする」「こういう質問をすればイチローはもっと答えてくれる」と口にしていました。


そして、マオさんは「今井さんにこれをあげようと思って」と一冊の分厚い本をドサッとテーブルに置きました。

それは、ジェームズ・リプトンが書いた

「アクターズ・スタジオ・インタビュー―名司会者が迫る映画人の素顔」という本でした。



ジェームズ・リプトンは全世界で放送し、NHKでも放送していた「アクターズ・スタジオ・インタビュー」という番組でハリウッドスターから本音を聞き出していた名インタビュアーです。


そして「ジェームズ・リプトン」の名言を教えていただきます。


「いい質問には いい答えが入っている」


非常にありがたい言葉をいただいたのと同時に、これは安易なインタビューはできないなと思いました。


そんな佐藤さんと3年以上に渡り、取材を通じてお付き合いをする事になります。

今では、下手くそな質問に対して、丁寧に答えていただいたと感謝しております。


次回、「調査屋の仕事1


をお届けします。


調査屋マオさんの恋文HP


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  • 執筆者の写真Iori Imai

更新日:2019年10月12日

映画「調査屋マオさんの恋文」を監督しました今井いおり(41)と申します。

私は普段フリーランスのTVディレクターをやらせてもらっていすが

ライフワークとしてドキュメンタリー映画を制作しています。


「調査屋マオさんの恋文」という映画は、認知症を発症した奥さんを記録し続けている元調査屋の佐藤眞生さんを3年半にわたり撮影したもので、夫婦、認知症、家族について見つめた作品です。


ここでは、 何故認知症を扱った映画を撮ったのか、

また、映画の本編には入りからなかったエピソードを書いていこうと思います。


よかったら予告編を見てください。


佐藤さんとお会いするまでのお話はこちらの記事にあります。


佐藤さんに興味を持った私は、佐藤さんにお会いしました。

そして、それまで書かれた本を10冊程頂くことになりました。

その本は、私にとって佐藤さんを取材するかどうかの判断材料にもなるので丹念に読みました。

(佐藤さんの本)


佐藤さんの書かれた本はとても素晴らしかったのです。

もう、佐藤さんの書かれた事をみんな実行すれば、

みんなハッピーなんじゃないのというぐらいに良い事ばかり書かれていました。

ただ、分かった事がありました。


そして、佐藤さんは非常に語彙に厳しいという事がわかりました。

ある本にはこの様な事が書かれていました。


「さまざまな媒体、いろいろな人間が、いま最も多用していることばに『凄い』というのがある。

ことば本来の意味も知らずに、なんでもかんでも『凄い』を連発する。

それでわかったような気になっている。

『凄い』はニスイに妻と書くから、夫が妻から水を浴びせられるような恐ろしいことというのが元々の意味である。

そいう意味の発話は殆どない。お粗末な思考停止の象徴である。」


簡単に説明すると、凄いという言葉は否定的や悲観的な事を強める時に使われるもので

「凄く楽しい!」「凄く美味しい!」という使い方は間違っている

「凄く恐ろしい」「凄く悲しい」といった場合に使いなさいとおっしゃっているのです。


ドキュメンタリー映画のみならず、本、雑誌、TVなどで取材をする人は取材対象者について調べられるだけ調べます。

それは、取材者が取材対象者に向けて、「貴方に対して興味があります」という意思表示で、取材に入る前の礼儀だと思っています。

そこで、はじめて、事前に調べていたモノ以外の事やその人の本音が引き出せるのだと思っています。


なので、私は佐藤さんとお話する時は、安易に「凄い」という言葉を使っちゃいけないと思いました。


頂いたすべての本を読み終え早速、佐藤さんに感想を伝えようと電話しました。


今井「本、すべて読ませていただきました」


佐藤さん「そうですか ありがとうございます。」


今井「凄く良かったです!」


(しばらく間があり)


佐藤さん「・・・ありがとうございます。」


(やってしまった!)


今井「いや、凄くないです・・・じゃなくて良かったです」


とまぁ、取材者としては最悪のスタートダッシュを切る事になりました。


その後、佐藤さんと再びお話する事になります。


次回「いい質問には答えが入っている」をお送りします。



※「凄い」の使い方ですが辞書で調べると、どちらでも良いそうです。

佐藤さんは当時77歳ですから時代を経て言葉が変化したのかもしれません。

40歳以上だと、「全然」という言葉が変化しているのがわかりますよね。

我々の世代以上は「全然ダメ」というように否定を強める言葉で使っていましたが

現在では「全然大丈夫」は普通に使われますよね。

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  • 執筆者の写真Iori Imai

更新日:2019年10月12日

映画「調査屋マオさんの恋文」を監督しました今井いおり(41)と申します。

私は普段フリーランスのTVディレクターをやらせてもらっていすが

ライフワークとしてドキュメンタリー映画を撮影しています。


「調査屋マオさんの恋文」という映画は、認知症を発症した奥さんを記録し続けている元調査屋の佐藤眞生さんを3年半にわたり撮影したもので、夫婦、認知症、家族について見つめた作品です。


よかったら予告編を見てください。

認知症を扱った映画ですが、私はこの映画を撮るまで認知症については

ほとんど関心がありませんでした。


私は41歳で、両親もバリバリ働いて元気なので介護もしたことがありません。

そんな私が、何故認知症を扱った映画を撮ったのか、

そして、映画の本編には入りからなかったエピソードを書いていこうと思います。


撮影のきっかけ


撮影のきっかけは、佐藤眞生さんの本との出会いでした。


撮影が開始は2016年の1月24日ですので、

本との出会いはそれより2ヶ月程前だと思います。


実は、この頃、精神が疲れておりまして。


僕は映像制作という好きな仕事をさせていただいているんですけど、

その仕事でも面白いものと、そうでないものがある。

面白い仕事だけしたいという欲求が日に日に高まっていくんです。

今考えるとただのわがままなんですが、面白い仕事だけでは食べていけない、

でもしたくもない仕事を毎日毎日こなしていくわけです。

この自分の想いと、現実のギャップでかなり疲れていました。


その時に、自給自足の生活をして、食べて生きる事だけは確保してその残りの時間で、面白い仕事だけしようという考えが頭をよぎりました。

後に佐藤さんに教えてもらうのですが、これは半農半Xという京都府綾部市在住の塩見直紀氏が提唱してきたライフスタイルだそうです。


それで、頭の中が自給自足ばっかりになり、ネットで検索して見つかったのが佐藤眞生さんの本「目からうろこが落ちるはなし:縄文自然観」という本でした。


その中で、最も興味が惹かれたのは「食べることは出すこと」と題し

自分の身体を実験台にして理想的な人間の食べる量を調べている事でした。


その内容は食べた量と排泄した量(ウンチ)を毎日計測するといったものでした。


ここでは、その方法は医学的な調査ではないので割愛します。

気になる方はこちらから読んでみてください。


そして私が気になったのは、どうやって自分のウンチを計測したのだろう

といことでした。


その本には、計測方法は書かれていませんでした。

食べる量は、普通に計測できる事はわかります。

しかしウンチを自宅で測るのは骨が折れそうです。


ウンチをする時に便器に容器をあらかじめ置いておくのか?


しかし、和式トイレなら可能だが、洋式だと困難ではないか?


リビングに洗面器程の容器を置き、用を足しているのか?


いやっ、ウンチが容器からこぼれたら、それはそれで地獄ではないか?


上手くいったとしても、

毎回ウンチをする度に容器を洗わなくてはいけないではないか?


ウンチは難儀だぞ!


そして、それを見ている家族の反応は??

(その時はまだ奥様が認知症である事は書かれていませんでした)


等々、妄想が膨らみました。


そしてその本には、縄文時代の生き方に学び実践し佐藤さんの自給自足の暮らしの様子が書かれていました。


きっと、茨木市の山奥で縄文人のような毛皮を覆い、

矢を放ちイノシシを捕らえ、

鋭利なナイフを巧みに使いイノシシを解体し、

火打石で火をおこし、

イノシシを焼き、

肉をナイフ切ったそばから口に入れて食べているのだなと、


平成も終わりという時にそのような映像が取れるのではないか?


映像を作るものとして、血流が体中をめぐったのを覚えています。


そしてウンチも測定している。


・・・佐藤さんに会ってみたい。


お住まいは、大阪府茨木市。


私と同じ大阪府です。


近い!会いに行こう!


ネットで「佐藤眞生」と検索するとfacebookをされていましたので早速連絡を取り、

佐藤さんの本に感銘を受けたので一度お話したいと伝えると、

快く了承していただきました。


佐藤さんの住所は茨木市白川。


「白川」という住所にも体に電流が走りました。


岐阜県に「白川郷」という日本の原風景を残している名所があるんです。


「白川」は自然あふれる名前なんだろう。


私は確信を得て「茨木市白川」に向かいました。


阪急茨木市駅からバスで15分ほど行くと佐藤さんの自宅がありました。

立派な自宅でした。


「あれっ?」


茨木市白川は閑静な高級住宅地だったのです。


少し落胆するものの、私は佐藤さんの本の内容には好きでしたし、

ウンチの測定について聞きたかったので佐藤さんの家のインターホンを押しました。


出てきた佐藤さんは、笑顔で温かく向かい入れてくれて色々とお話を聞かせてくれました。


そして、ウンチの測定方法について聞きました。


佐藤さんは大笑いして

「あれなぁ 最初はタライにウンチ出しとったんやけど、大変やろ?

ある時気づいたんや、用をたす前に体重測って、用をたした後にもう一回測るんや! タライで測った時とそない変わらんかったんよー 」


なるほど、そういう事だったのかと謎か解けました。


しかし、茨木市の山奥でイノシシを追いかける老人の姿は取れない

ましてや、ウンチをしている姿なんて撮れない

映像制作者としての青写真は見事に散ってしまいました。


その後も、3時間程話して佐藤さんから佐藤さんが書いた本を10冊程頂きました。

取材お願いは後にして

一旦全部の本を読んでみようと思い、その日は別れました。


この時は、自分が認知症を扱った映画を作るとは思いもしませんでした。


をお届けしようと思います。


今井いおり


調査屋マオさんの恋文HP


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