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東京ドキュメンタリー映画祭グランプリ

認知症の妻に寄り添い続ける元調査屋の物語

認知症のドキュメンタリー映画
認知症ドキュメンタリー映画
認知症のドキュメンタリー映画
認知症のドキュメンタリー映画
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マオさんは日々変わりゆく妻・縫子さんの言動を書き続けた。
​それは調査屋の矜持として、そして妻を忘れないため・・・

​元調査屋は、妻のために何ができるか・・・
​おぼろに浮かぶ
の記録

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コメント

記録がね、とっても優しいんですね。
メモが優しくて 普段気にも留めないような夫婦の会話 奥様のお話ってのをメモされる。
なんかそれがすごい素敵な夫婦の在り方だし 素敵な生き方だなぁっていう風に思いました。 現実とその中にある小さな幸せ もちろん苦しみを感じながら
生きるってなんだろう、老いるってなんだろう 結婚とは夫婦とは、という色んな問いがここにあると思います。
DJ寺田 有美子さん
開始二秒で泣きました。 はじめのワンシーンにこの夫婦のすべてが詰まってるなぁと。
介護系の仕事をしてたらよく見るシーンかもしれないけど、映画を通して見るととても壮大なことだと気付かされる。 人としてためになる映画でした。 とりあえず天ぷらたべたい!
30代 介護福祉士 男性
無常に過ぎゆく時の中で、人は老い色んな事を忘れてゆく。
無常な人生のその中で、ふとあの頃が脳裏に浮かび、瞳に過去が蘇る。
老婆の皺が、人生を静かに語っていた。
篁怜(ヘアメイク)
老人ホームに通い続けやっと奥さんと正面から向き合い
認知症になりゆく記憶から彼女の本当の気持ちを聞き出し記録し始める。
ずっと涙が止まらなかった。
本木 香吏(演出家)
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佐藤夫婦を撮影して・・・

監督の言葉

マオさんと出会ったきっかけは、自給自足に興味をもった私が教えを乞うという形でお会いしました。
はじめは、大阪の山で「自給自足しているおじいさん」という映像作品になればと思い撮影をはじめました。

自給自足についてお話を聞くのですが、事あるごとに佐藤さんは奥さんの事ばかりお話をするのです。
そして、調査屋の仕事が原因で家庭崩壊寸前、
それを転機として大阪で自給自足をはじめたのが38歳だったということを話してくれました。

当時の僕の年齢が38歳、妻と4歳の息子と1歳の娘がいる事もあり、自分事のように話を聞いていたのを覚えています。

そしてある時、認知症の奥さんの言動を綴った「縫子生(ぬいこしょう)」を見せてくれました。

淡々とつづられる「縫子生」に私は深く感動し、特養でマオさんが奥さんに優しく接している姿を見て
これは映画にしなければならないと思い、「夫婦の映画」にしようと思いました。

それまで、コメディ映画やバラエティー番組を制作していた私ですが、1年2年と撮影が続き、認知症、夫婦間のトラブル、人間の尊厳と自分の分を超えたテーマを扱っている事に気づきました。

あまりにも重いテーマに、何度も投げ出そうとした作品ですが、幼児の娘と接している自分と、佐藤さんが奥さんに接している姿が重なる事を感じ、育児と介護は非常に似ているのではないかと思うようになりました。

僕自身、娘と接している時間で、それまでの自分とは違う自分も発見しました。
僕が撮影したマオさんは、過去のマオさんとは全く違う人物ではないかと思います。

悲しい変えられない過去と、マオさんの奥さんに接する優しさ。
この事がマオさんの中に同居している。
矛盾ではなく、これが「人間」なんだなと思いました。

映画を上映するにあたり、市井の夫婦のドキュメンタリー映画をどれだけ受け入れてくれるだとうと不安でいっぱいでしたが、関西では多くの方に見ていただき、反響もあり、東京ドキュメンタリー映画祭でもグランプリという評価をいただき、諦めずに作ってよかったと思います。

そして、数年にわたり取材を快く引き受けていただき、
私の知らなかった世界に連れて行ってくれた佐藤夫婦に心より感謝申し上げます。 

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マオさんの言葉

映画と認知症について

今井監督は最初私の自給自足の映画を考えていました。それで野菜や米づくり、野草てんぷらやビール・味噌づくり、縄文直観塾などを記録しています。

ところがそういう自給生活を維持しつつ、認知症の家内を自分の人生の転機として家内に寄り添う介護の生活を始めた私に重点が移っていきました。

認知症は偏見と誤解の中にあります。認知症は何もわからない、何も考えない、何もできないとされ、医療や介護施設、家族にも同じ認識があります。

私は認知症の家内に約7年間寄り添い、これが間違いだということに気づきました。認知症はみんなわかっています、よく考えています、できることもたくさんあります。周りにいる人がわかろうとしていないだけです。

認知症は脳で考えることをやめて身体で考えています。その言動を反論したり、否定したり、論理的に諭そうとしても通じません。反復して次の発話を待つ度量がいります。そうすれば語らいと微笑みが生まれます。

認知症は今ここを生きています。過去や未来についてはあまり関心がありません。今ここを一緒に楽しく生活する姿勢が大切です。介護する者と介護される者という違いを共有するあわいが求められます。あわいに生きると、共に生活が快になることがみつかります。

映画は4年にわたる取材を通じて介護の専門職にはできない寄り添う介護の本髄をていねいにすくっています。

2020.8.7  佐藤 眞生

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