top of page
  • 執筆者の写真Iori Imai

実は、認知症について関心がありませんでした

更新日:2019年10月12日

映画「調査屋マオさんの恋文」を監督しました今井いおり(41)と申します。

私は普段フリーランスのTVディレクターをやらせてもらっていすが

ライフワークとしてドキュメンタリー映画を撮影しています。


「調査屋マオさんの恋文」という映画は、認知症を発症した奥さんを記録し続けている元調査屋の佐藤眞生さんを3年半にわたり撮影したもので、夫婦、認知症、家族について見つめた作品です。


よかったら予告編を見てください。

認知症を扱った映画ですが、私はこの映画を撮るまで認知症については

ほとんど関心がありませんでした。


私は41歳で、両親もバリバリ働いて元気なので介護もしたことがありません。

そんな私が、何故認知症を扱った映画を撮ったのか、

そして、映画の本編には入りからなかったエピソードを書いていこうと思います。


撮影のきっかけ


撮影のきっかけは、佐藤眞生さんの本との出会いでした。


撮影が開始は2016年の1月24日ですので、

本との出会いはそれより2ヶ月程前だと思います。


実は、この頃、精神が疲れておりまして。


僕は映像制作という好きな仕事をさせていただいているんですけど、

その仕事でも面白いものと、そうでないものがある。

面白い仕事だけしたいという欲求が日に日に高まっていくんです。

今考えるとただのわがままなんですが、面白い仕事だけでは食べていけない、

でもしたくもない仕事を毎日毎日こなしていくわけです。

この自分の想いと、現実のギャップでかなり疲れていました。


その時に、自給自足の生活をして、食べて生きる事だけは確保してその残りの時間で、面白い仕事だけしようという考えが頭をよぎりました。

後に佐藤さんに教えてもらうのですが、これは半農半Xという京都府綾部市在住の塩見直紀氏が提唱してきたライフスタイルだそうです。


それで、頭の中が自給自足ばっかりになり、ネットで検索して見つかったのが佐藤眞生さんの本「目からうろこが落ちるはなし:縄文自然観」という本でした。


その中で、最も興味が惹かれたのは「食べることは出すこと」と題し

自分の身体を実験台にして理想的な人間の食べる量を調べている事でした。


その内容は食べた量と排泄した量(ウンチ)を毎日計測するといったものでした。


ここでは、その方法は医学的な調査ではないので割愛します。

気になる方はこちらから読んでみてください。


そして私が気になったのは、どうやって自分のウンチを計測したのだろう

といことでした。


その本には、計測方法は書かれていませんでした。

食べる量は、普通に計測できる事はわかります。

しかしウンチを自宅で測るのは骨が折れそうです。


ウンチをする時に便器に容器をあらかじめ置いておくのか?


しかし、和式トイレなら可能だが、洋式だと困難ではないか?


リビングに洗面器程の容器を置き、用を足しているのか?


いやっ、ウンチが容器からこぼれたら、それはそれで地獄ではないか?


上手くいったとしても、

毎回ウンチをする度に容器を洗わなくてはいけないではないか?


ウンチは難儀だぞ!


そして、それを見ている家族の反応は??

(その時はまだ奥様が認知症である事は書かれていませんでした)


等々、妄想が膨らみました。


そしてその本には、縄文時代の生き方に学び実践し佐藤さんの自給自足の暮らしの様子が書かれていました。


きっと、茨木市の山奥で縄文人のような毛皮を覆い、

矢を放ちイノシシを捕らえ、

鋭利なナイフを巧みに使いイノシシを解体し、

火打石で火をおこし、

イノシシを焼き、

肉をナイフ切ったそばから口に入れて食べているのだなと、


平成も終わりという時にそのような映像が取れるのではないか?


映像を作るものとして、血流が体中をめぐったのを覚えています。


そしてウンチも測定している。


・・・佐藤さんに会ってみたい。


お住まいは、大阪府茨木市。


私と同じ大阪府です。


近い!会いに行こう!


ネットで「佐藤眞生」と検索するとfacebookをされていましたので早速連絡を取り、

佐藤さんの本に感銘を受けたので一度お話したいと伝えると、

快く了承していただきました。


佐藤さんの住所は茨木市白川。


「白川」という住所にも体に電流が走りました。


岐阜県に「白川郷」という日本の原風景を残している名所があるんです。


「白川」は自然あふれる名前なんだろう。


私は確信を得て「茨木市白川」に向かいました。


阪急茨木市駅からバスで15分ほど行くと佐藤さんの自宅がありました。

立派な自宅でした。


「あれっ?」


茨木市白川は閑静な高級住宅地だったのです。


少し落胆するものの、私は佐藤さんの本の内容には好きでしたし、

ウンチの測定について聞きたかったので佐藤さんの家のインターホンを押しました。


出てきた佐藤さんは、笑顔で温かく向かい入れてくれて色々とお話を聞かせてくれました。


そして、ウンチの測定方法について聞きました。


佐藤さんは大笑いして

「あれなぁ 最初はタライにウンチ出しとったんやけど、大変やろ?

ある時気づいたんや、用をたす前に体重測って、用をたした後にもう一回測るんや! タライで測った時とそない変わらんかったんよー 」


なるほど、そういう事だったのかと謎か解けました。


しかし、茨木市の山奥でイノシシを追いかける老人の姿は取れない

ましてや、ウンチをしている姿なんて撮れない

映像制作者としての青写真は見事に散ってしまいました。


その後も、3時間程話して佐藤さんから佐藤さんが書いた本を10冊程頂きました。

取材お願いは後にして

一旦全部の本を読んでみようと思い、その日は別れました。


この時は、自分が認知症を扱った映画を作るとは思いもしませんでした。


をお届けしようと思います。


今井いおり


調査屋マオさんの恋文HP


閲覧数:104回0件のコメント

最新記事

すべて表示

コンプライアンス無視マオさん

30年程前のお話です。 今の様にコンプライアンスというものが厳しくないユルいユルい時代の話でございます。 調査屋として活躍するマオさんに取引先の病院から奇妙な依頼があります。 「インターンの学生医師が患者と会話が出来ない、彼らを患者とコミュニケーションを取れるよにして欲しい」 院長も病院を大きくしたいという想いがありその3人には手を焼いていたのです。 調査屋マオさんに託されたのは、医師の卵3人。

調査屋の仕事②

調査屋マオさんに、紳士服開発の依頼がありました。 依頼元は大手アパレルメーカーのWORLD 今ではWORLDは紳士服を扱っていますが、当時、婦人服しか扱っていませんでした。 そんなWORLDがオリジナル紳士服開発に乗り出します。 その開発に矛先が向いたのは、調査屋マオさんでした。 といっても、洋服デザイナーでもない、マオさん。 非常に悩んだそうですが、街を歩いている男性を見てひらめきます。 ネクタ

調査屋の仕事①

認知症 記録 マーケティング 調査 老老介護 介護

bottom of page